緩和ケアと一緒によく聞く言葉にターミナルケアがあります。
ターミナルケアというのは、終末期(ターミナル)の医療や看護のことを指します。
余命わずかとなった人が、残りの時間を心穏やかに苦痛なく過ごせるように、医療や看護、介護を行います。
積極的に治癒へ向けて治療する医療には、しばしば痛みや苦痛を伴うことがありますが、ターミナルケアはそういうものではなく、苦痛や痛みを和らげることが一番の目的となります。
延命措置も基本的には行いません。
緩和ケアにとても似ていますが、緩和ケアは終末期に限ったものではないので注意が必要です。
ターミナルケアでは、終末期であることをどのように判断するかということが重要です。
公益社団法人全日本病院協会の「終末期に関するガイドライン」では、終末期について、「医師が客観的な情報を基に、治療により病気の回復が期待できないと判断すること」など、いくつかの定義がされています。
しかし、認知症などの治療効果が見えにくい病気では、判断が困難です。
そのようなケースでは、患者が食事をできなくなったときを目安にすることが多いからです。
ターミナルケアに入ると、胃ろうや、心肺蘇生などの積極的な延命措置は行われなくなります。
ターミナルケアをするかどうかの最終的判断をするのは、本人です。
ところが終末期ですから、本人が意思を表明することが難しくなっていることも多々あります。
結果としてその場合は、家族に判断が委ねられることになります。
家族は重い決断を下すことになり、また、家族間で意見が分かれることも少なくありません。
そこで患者本人には、意思を表明できる間に「リビングウィル」を作成しておくことが勧められています。